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後継者・幹部育成

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経営者、管理職としてのきき方、伝え方を考える

松﨑 舞子 弁護士:松﨑 舞子 投稿日:2023.04.21

コミュニケーション論として、聞くこと、伝えることに関する技術や方法が話題になっています。技術面を意識することも有効ですが、相手と向き合う姿勢についても重要になると折に触れて思うところです。
本ブログでは、経営者、管理職といった組織を取りまとめる立場にある方のきき方、伝え方をまとめています。社員とのコミュニケーションを円滑化し、組織を活発にしていただく一助となれば幸いです。

きく「技術」だけでなく聞く側の心構えも重要です

「きく」という行動について、辞書的な意味の違いでみると、「聞く」は無意識的に音や声を感じ取ること、「聴く」は意識を持って注意深く「聞く」こと、というように整理されます。

いずれの場合でも、相手の言葉を受けとめるというプロセスがあります。言葉を受けとめることができるかは、きく側の心構えに左右されます。

なお、ここでいう「受けとめる」とは、相手の気持ちや考えに賛同することではなく、相手がそのような気持ちである、そのような考え方を持っているという現実を把握することを意味します。
「ここでそんな気持ちになるのはあり得ない」「そんな考え方は認められない」となってしまうと、相手の言葉を受けとめることすらできなくなってしまいます。
人はそれぞれ異なる気持ち、価値観、考えを持つことが当たり前であるという基本的な心構えを忘れないことが、「きく」という行動を十分に実行する前提となるのです。

弁護士という職業柄、様々な人の話をきく機会があります。相手は自分とは違う考えを持っているなと思う場面にもよく出くわします。それでも、相手の考え方や気持ちに賛同できるか否かはともかく、まずは相手の言葉を受けとめることを意識して話をきくようにしています。最終的に「話を聞いてもらえて良かった」と言われた経験も少なからずあり、きちんと「きく」ことは信頼関係の形成にも役立つものだと思い至るところです。

きく対象は相手の「言葉」だけではありません

コミュニケーション、特に対面で行われるコミュニケーションは、言葉だけで成り立っているものではありません。声のトーン、表情、体全体のしぐさ、対話者間の普段の関係性といった様々な要素をもってコミュニケーションは成り立っています。

更には、その時その言葉を発するに至った経緯、背景にある考え方がコミュニケーションの展開に関わることもあります。相手と一定の関係性を築く必要がある場合には、発言の経緯や背景を理解することが有効になってきます。

このようなコミュニケーションを構成する要素をとらえるには、十分に観察し、観察した内容を解釈する必要があります。観察した内容の解釈については、自分自身の考え方だけでは限界があるため、ときには第三者の視点を借りることも有益です。
ここまでするとなると、コミュニケーションは一朝一夕には成り立たない、根気のいるものだと思われるかもしれません。
初対面でも相手の心をつかむことのできる方もいらっしゃいますが、そういった方は、コミュニケーションの要素を素早く把握し、相手にアプローチをするのが巧みな方といえそうです。
そこまではできない、というときは、対話の機会と時間を増やし、地道に関係性を構築していくことになります。

弁護士と依頼者との関係を見ても、こまめに報告をしたり、時間を取って困りごとに向き合ったりすることが、良好な関係性を築くうえでは重要と感じます。
スピードが重視される昨今ですが、じっくりと腰を据えてコミュニケーションを取ることで、当事者の関係性は盤石なものになると考えています。

経営者、管理職として言葉をきくときは、話しやすい気持ち作りから

コミュニケーションの要素として当事者の関係性があるという点からすると、経営者、管理職として社員や部下と話をするときには、その社内での立場の違いを意識せざるを得なくなります。

きくという場面では、話し手に「きちんときいてもらえている」「少し言いにくいけれど話をしてみよう」という気持ちが生まれないと、十分に話をきくことができません。社員や部下という立場の人にとっては、話をしたいという気持ち自体が高まっていないということが往々にしてあります。

そのようなときは、話し手の「話したい」という気持ちを醸成することから取り組んでみます。
話し手の気持ちに影響を与える要素としては、話をする環境ときき手の反応です。

環境面で考慮するのは、話をする時間と場所です。普段からまとまった話をする時間を取れていない場合には、話をするのに十分な時間を確保しておくことになります。
場所については、話す内容や話し手の性格によります。込み入った話であれば当事者だけがいる場所が良いとなりますし、周りに人がいる方が話しやすいということであれば、社内の個室でない場所、喫茶店等周囲に人がいる場所という選択もあり得ます。

よいきき手の反応について、よく言われるのは、相づちを打つ、否定をしない、きき手から話をしすぎない、といった点です。

ただ、これらの点は、いついかなる時、どのような相手にでも有効というものではありません。話し手によっては、一般的に良いとされる反応がマイナスに働くこともあります。きき手は、話し手を観察しながら、適切な反応を選択していくことになります。

気持ちや考えを伝えるときには相手の尊重を意識しましょう

伝える方法や技術については、アサーション、あるいはアサーティブな表現といったフレーズを見聞きしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。アサーション、あるいはアサーティブな表現とは、自分も相手も尊重する表現などと説明されます。

「自分も相手も」という双方のバランスを取ることに、アサーション、あるいはアサーティブな表現の難しさがあります。特に相手を尊重することについては、相手がどういった状況にあるのか、どういう気持ちでいるのかについても思いを巡らせる必要があります。

ここで、きくことの部分でご説明した、相手の十分な観察と解釈、あるいは人はそれぞれ異なる気持ち、価値観、考えを持つことが当たり前であるという心構えが生きてきます。

相手を十分に観察し、観察した内容に適切な解釈ができれば、相手を尊重した発言や提案につながります。

自分が異なる気持ちや考えを持っても良い、当たり前だ、と思うことで、その気持ちや考えを表現する心理的なハードルが下がります。そうすると、自分を尊重する表現に対する躊躇も軽減されることにつながっていくのです。

経営者、管理職として伝えるときは「自分」を強調しすぎていないか注意を

伝えるときも、きくときと同様に、経営者と社員、管理職と部下といった、社内での立場の違いが影響を与えます。立場の違いによる影響があることを意識して、経営者や管理職としての伝え方を実践することになります。

「自分も相手も尊重する」という点で見たとき、一般的に経営者や管理職の立場にある方は「自分」を強調しがち、社員や部下の立場にある方は「自分」を後回しにしがち、という傾向があります。このような傾向を意識して、どう伝えるかを実践していくことになります。

経営者や管理職の立場にある方は、自分の考えや希望を押し付けていないかを自問しつつ、社員や部下へのアプローチを試みます。

自身のアプローチに対して、相手の反応がよくない、肯定の返事はもらったけれども後味が悪い、といった事態になった場合には、その点に関してフォローする働きかけをしていくことでコミュニケーションが展開していきます。

自身のアプローチに対する相手の反応を観察し、解釈するというプロセスがここでも必要になります。そのうえで、更なるアプローチを行う。この繰り返しによって、相手に対する理解が進み、相手も尊重して伝えるという結果につながっていくのです。

「伝える」というと一方通行な印象もありますが、対話を重ねることで当事者が言葉に込めた意味について理解が深まっていき、「伝わる」というプロセスがあることを意識すると、見え方が変わってくるのではないでしょうか。

特に経営者や管理職になったばかりの方は、社員や部下とのコミュニケーションで壁にぶつかるというお悩みを少なからず抱えています。コミュニケーションの壁にぶつかったときは、相手を尊重してきくこと、伝えることができているかを見つめ直すのも一手です。

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