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交渉は問題解決のプロセス

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2025.02.27

今日は弁護士の交渉術について考える機会があったので、私なりの考えをお伝えしてみたいと思います。

弁護士の仕事は、交渉と向き合うことが非常に多いです。クライアントからの依頼を受ける際はもちろん、取引先とのやり取り、さらには事務所内での調整など、さまざまな場面で交渉が必要になります。そのため、弁護士としては交渉スキルを磨きたいと常に考えています。

若い頃、交渉スキルを向上させるためにさまざまな交渉術の本を手に取りました。そこに書かれていることは素晴らしく、分かりやすいものでした。しかし、それを読んだからといって、交渉力が劇的に向上したかというと、正直なところよくわかりません。

交渉の最中に「このテクニックを使おう」と意識する余裕はあまりありません。交渉はその場その場の真剣勝負であり、相手の反応によって進行が大きく変わるからです。予定通りに進むことはほぼなく、極端な例では、交渉の場に相手が現れないことさえあります。そのため、交渉術にこだわりすぎるのは逆効果ではないかと考えています。

交渉というと、相手を言いくるめたり、説得したりするものだと思われがちですが、私はそうは考えません。交渉とは、お互いが納得できる解決策を模索する「共同作業」に近いものだと思います。

交渉の場で小手先のテクニックを駆使し、相手を抑え込もうとすると、かえって関係が悪化し、問題解決に向けた協調性が損なわれてしまいます。交渉とは、互いの立場を尊重しながら、双方にとって最適な解決策を見つけるプロセスなのです。

交渉で勝つというと、「自分の要求を通すこと」ばかりに目が向きがちです。しかし、交渉は一方的な勝ち負けではなく、双方が何かを譲ることで成立します。

そのため、交渉をスムーズに進めるためには、自分が「何を手放せるのか」を明確にしておくことが大切です。最初にこちらが譲歩することで、相手も譲る姿勢を見せやすくなります。反対に、自分の要求を一切譲らない姿勢をとると、交渉は硬直し、結局何も決まらなくなってしまいます。

結局のところ、交渉に強い人とは「自分が手放せるものを知っている人」だと思います。何でも手に入れようとする人は、結果的に多くのものを失うことになりがちです。一方で、自分が譲れるポイントを冷静に判断し、柔軟に対応できる人こそ、本当に必要なものを手に入れることができるのです。

これは、老荘思想にも通じるような、人間の本質的な真理だと感じます。弁護士としての経験を通じて、交渉とはただ勝ち取るものではなく、互いに譲り合いながら最適な解決策を見つけるプロセスであると、日々実感しています。

交渉の場に立つ際には、自分が守りたいものだけでなく、「自分が譲れるもの」も意識することが大切です。それが結果として、自分自身を守ることにもつながるのです。

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