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「変化は常である」──易経に学ぶ経営の姿勢

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2025.04.10

経営を考えるうえで、私は中国古典の一つである『易経(えききょう)』をたびたび参考にしています。
「易経」というと、どうしても占いの書というイメージが先行してしまいますが、それはこの書物のごく一面に過ぎません。易経の本質は「変化をどう捉えるか」という視点にあります。

よく、「現代は変化の激しい時代だ」と言われます。たしかに、技術革新や社会構造の変化など、目まぐるしく環境が動いているように感じることはあります。しかし、冷静に歴史を振り返ってみると、穏やかな時間のほうがむしろ例外的だったのではないでしょうか。人間の暮らしは、常に変化のなかにありました。言い換えれば、変化こそが「常」であり、「安定」こそが稀有な瞬間だったのだと思います。

にもかかわらず、私たちはつい「今ある環境はしばらく続くだろう」と思い込んでしまうところがあります。実際には、外部環境は自分の思い通りにならないどころか、むしろ常に変わっていくものです。そうした変化に対応するには、「変わるものだ」という前提に立ち、自分の経営や人生の在り方を見直していく必要があります。

『易経』の良さは、目の前で起きている出来事だけでなく、それがどのように変化してきたか、そして次にどう移り変わろうとしているのか、という「流れ」を意識させてくれるところにあります。たとえば、Aという状況がBに変わり、BがCへと移る──この連続にこそ意味があるのです。表面的な出来事を並べているだけでは、次の変化の兆しに気づくことは難しい。だからこそ、『易経』が一つの指針となりうると感じています。

私自身、この書に出会わなければ、事務所の経営スタイルは今とは違っていたかもしれません。特に、「成功体験はしばしば衰退の始まりである」という考え方には強く共感しています。

経営をしていると、当然ながら何らかの成果や成功を求めてさまざまな手を打ちます。うまくいったときには達成感があり、それを再現しようとするのは自然な流れです。しかし、その成功に執着しすぎると、「変えること」への抵抗感が強くなり、時代の変化についていけなくなってしまいます。

物事がうまくいっているときこそ、実は次の変化の兆しを見落としやすくなる。うまくいかなくなってからでは遅いのです。だからこそ、「今うまくいっている」という状態を客観的に見つめ直し、あえて変化の準備をしておくことが大切なのではないかと感じます。

10年前と今を比べると、世の中はずいぶん変わりました。これからの10年もまた、きっと大きく変わっていくでしょう。そのときに柔軟に動けるかどうかは、「変化は常である」という意識を持てているかにかかっていると思います。

私にとって『易経』は、そうした変化に向き合うための静かな指南書です。そして、これからも変化とともに歩む経営を目指していきたいと思っています。

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