ハラスメント
クレーマーの定義:「その人はクレーマーなのか」と悩んだ時点ですでに間違っている
弁護士:島田 直行 投稿日:2019.11.03
ある商品やサービスに対してなんらかのクレームがでるのは誰しも予想できることです。人は神ではないのでミスをします。ミスをしたのなら事実を認めてしかるべき対応をしていくことになります。消費者などからクレームがくれば、社長として最重要課題として取り組むべきものです。クレームに対してきちんと対応していけば、むしろファンになってくれる人だっています。クレームを企業の成長のブレーキにするかアクセルにするかは社長の姿勢ひとつによって決まってきます。
ですがなかには明らかに不当な要求をしてくる人もいます。こういう人をクレーマーと呼んでいます。こういった方は「もはやお客様ではない」と覚悟を決めて対応するべきでしょう。ここまでの話は「それはそうだ」と誰しも納得するものです。いろんなところで「不当な要求には断固とした姿勢を」という言葉を目にしてきたはずです。
ここで問題。「クレーマーの定義を説明してください」と質問されたらどのように回答しますか。「不当な要求をしてくる者」であればなにをもって不当な要求と考えますか。「常識から逸脱したもの」「過剰な要求」といった回答があるかもしれませんがいずれも具体性に欠けています。「常識」「過剰」というのはいずれも個人の価値観の影響を多分に受けるものです。ですから人によって解釈がまったく違う。このように解釈の相違が担当者にはプレッシャーになります。
担当者としては、「この相手はクレーマーとしてお客から外していいのか」と不安になるものです。自分の判断で決めてしまって後から上司から叱責されたらやりきれません。人は保身に動く動物です。わからないなら「とりあえずお客さんとして丁重に」ということになります。結果としてクレーマーから一方的に責められて身動きが取れないということになってしまいます。
実際に「こういう人はクレーマーでしょうか」という相談は多いです。クレーマー対応に悩む前にクレーマーなのかどうかの判断で悩む。こういうことって現場でよくあるのです。それほど企業の担当者として相手の扱いにナーバスになっているというわけです。根底には「間違ってクレーマー扱いしたらとんでもないことになる」という不安があります。こういった不安が担当者を内面から追い込むことになります。
ですから経営者としては、「こういうケースはクレーマーとして扱っていい」という号令をだしておくべきです。おくべきというかださないといけない。現場が「クレーマーかどうか」で悩んでいる時点で対策として間違っているわけです。そこでつまづくような組織だといつまでたっても場当たり的な対応で被害を受けるばかりです。
はっきりいってクレーマーの定義なんてものはあってないようなものです。いくら絶対的な正解を求めても見つかりません。だって企業によって扱う商品もサービスも違うわけですから。そもそも経営に正解なんてあるわけないです。経営にあるのは決定することにつきます。クレーマーの定義にしても同じです。経営者が「こういうケースが我が社にとってのクレーマーだ」と決めればいいだけのことなんです。定義としてあっているとか間違っているとかの問題ではない。定義があるのかないのかの問題です。だからこそ経営者は自分で定義を決めて表示しなければなりません。そこがクレーマー対策の第一歩になります。
具体的な定義の策定方法は、本の中にも書いておりますのでご覧ください。
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