ハラスメント
クレーマー対処法:クレーマーとの交渉の流れを一気に変えた一言
弁護士:島田 直行 投稿日:2019.12.06
クレーマーとの交渉は、生業としている僕にとっても負担なもの。一般の方であれば「またか」ということで電話の着信だけで憂鬱になるものだ。とくにクレーマーは、こちらの都合に関係なく物事を自分に都合のいいように解釈して述べてくる。「それは違うでしょうが」といくら説明しても聞く耳を持たない。「上司をだせ」の一点張りだ。こういった交渉を自分に有利にしていくためには智慧が必要だ。
文末を断定されると交渉で弱くなる
言葉で表現することは難しいが交渉には流れとか勢いといったものがある。交渉を生業にしている者からすれば、内容が分からずともふたりの雰囲気を見れば「こっち優勢で展開しているな」となんとなくわかってくる。これは別に声が大きいとかそういうものではない。口数少ない方でも「こっちの方が有利だね」というのが感じ取れるものだ。
とくに交渉の流れを作りやすいのは文末の表現。断定されて言いきると大抵言われた方がたじろいでしまうものだ。クレーマー対応でしんどいのは、大声というよりも断定的に言いきられてしまうからだ。みなさんも普段の暮らしのなかであまり相手から断定されてものだを言われることないはずだ。「こうではないか」「こう思う」というように最後は柔らかい表現になっている。仮に内容が厳しいものでも。
クレーマーは、「自分が正しい」という自信があるから断定で要求してくる。文末を言いきられると、それだけで言葉の圧力がうまれてくる。それに対してこちらも「それは違う」と言いきりたいところだがなかなか言えるものではない。結果として文末を奪われて弱い立場になってしまう。
交渉の流れを変えるのは想像するより大変
いったん交渉の流れが生まれてしまうと事後的に変えるのは簡単なことではない。それは心理的に抑圧されてしまっているからだ。いくら頭で「なんとかしないといけない」とわかっていても心がついてこれない。こういうのを空回りというのだろう。
よく心折れて相談に来る方は、「いろいろやってみたんですがうまくいかずに」と口にされる。おそらく自分としてはいろいろ考えて方策を練ったのだろう。でも周囲から見ればたんに同じ対応を繰り返しているだけということも珍しくない。自分ではいろいろやっているつもりでも実際には同じことを繰り返しているだけということだ。こういう事態になってしまうのも心が抑圧されてしまっているからだ。冷静に自分と周囲を見ることができなくなっている。
交渉の流れを変える最も単純な方法は担当者変わること。もういったん心理的に負けたらなかなか自力でもがくにはつらい。むしろストレスがさらに過重になってしまう。「もう無理です」と上司に相談することは決して恥ずかしいことではない。自分のメンタルが耐えきれないと感じたら早急に声を上げるべきだ。
「怖いです」の一言があなたを守る
でもなかなかすぐに変わることができないというときもある。そういうときにあなたを救ってくれる一言がある。それは「怖いです」と言ってしまうことだ。クレーマーから何か声を荒げたり執拗に電話をかけられたら「怖いです」と言ってしまうことだ。
僕らは、いつも恐怖心に打ち勝たねばならないと習ってきた。だからクレーマーに対して毅然な態度を取るとなると弱さを見せていけないと誤解してしまう。そんなことはない。むしろ「怖いです」という自分の弱さを前面にだすことで交渉の流れを変えることができる。
恐怖心を感じたときに素直に「怖いです」といえばクレーマーと言えども「やりすぎたか」とたじろいで我に返りやすい。「これ以上の要求はめんどくさいことになるかもしれない」と考えることが多いようだ。なかには「なんで怖いのか」とさらに興奮する人もいるかもしれないが話にならないので交渉をやめたほうがいい。恐怖心を覚えるような状態で交渉に応じる必要はない。交渉はあくまで双方が冷静に話し合いをするもの。威圧された状況下で無理に応じないといけないものではない。
しかも「怖い」というのはあくまで個人の感想。名誉毀損といわれることもない。なぜかクレーマーは、名誉毀損という言葉が大好きだ。なんでも自分が批判されると「名誉毀損だ」というから不思議だ。おそらく法的な意味での名誉の意味をたんなる自尊心と誤解しているだろう。
怖いと感じるときには交渉に応じない。あたりまえのことだが無理をして応じて問題をより複雑にしてはならない。
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