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ハラスメント

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パワハラをする人の特徴。自覚がない

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2020.06.26

精神疾患の労災申請が過去最多になったそうだ。

これはあくまで「申請」であって「認定」ではない。実際には申請をしたうえで労災として認定されるかどうかが決まることになる。さりとて労災によって精神疾患になったと自覚する人が増えたことには間違いがない。職場におけるパワハラが過剰なストレスの要因のひとつになっている。労働事件を担当しているとパワハラに関する相談も相当数ある。パワハラの被害に遭ったという相談もあればパワハラをする管理職の対応がわからないという相談もある。

政府としては、パワハラを重大な社会問題として位置づけパワーハラスメントの防止を企業に義務付ける改正労働施策総合推進法などを成立させている。こういったパワハラ防止に向けた活動は大事ではあるがなかなか即効性を期待できないだろう。企業としては、「パワハラをなくそう」という意識はあるものの「ではどうしたいい」と具体的な行動になると頭をかしげることになる。明らかなパワハラ行為であれば「それはダメだ」と指摘できるものの業務指導の一環とも評価されうるようなものであれば明確に指摘することも躊躇される。むしろ安易にパワハラということで指導担当者を萎縮させるのではないかと危惧することもある。

いろんな事案を見てきてパワハラをする人にはひとつの共通項である。それは「自分がパワハラの加害者という自覚がない」ということだ。「これはパワハラです」と指摘すると「なにをいっているの。このくらいのこと」と驚いた様子の人もいる。おそらくこういった無自覚が多くの人を困らせてきたのだろうとうんざりする瞬間だ。当事者としては、「これはいじり」「コミュニケーションのひとつとして」というようにいろんな言い訳をしてくる。実に見事な言い訳だがいずれも「あとづけでしょ」と感じるものばかりだ。本当にそう感じていたのであれば、それはそれで問題になる。本音のところでは、「このくらいいいだろ。他人をいじめても」というのがあるのであろう。しかも最近特に感じるのは、「場の空気」というものだ。

パワハラというと特定の人がする行為というイメージがあるかもしれない。だが実際には単独の場合のみならず集団で行われることも少なくない。ある部署の複数のメンバーが特定の社員に対していじめのような行動にでてしまうことだ。集団の心理というのはおそろしい。「あの人がこのくらいやって大丈夫なら」という意識がより過激な行為を助長してしまう。グループで心理的な帯同ができてしまい自分たちの行為がいかに卑劣なものであるのか冷静に判断できなくなってしまう。メンバーにしても自分の行為が違法なものであるという意識が希薄化していく。むしろ相手を組織の空気になじめないものとして位置づけてさらにハラスメント行為にでることがある。

こういった組織的ないじめについては、いったん公になるとつながりもろい。責任のなすりあいになってしまうことがある。こういうときにはきちんと関係者すべてのものの関係性と責任の所在を明確にしないといけない。ここがあいまいにして終わらせるとさらに結局を強くしてしまうことがある。

自覚がないというのは本当に問題の解決を難しくさせる。被害者からすれば「なぜ自覚できないのか」と腹立たしくもなる。いろんなケースを見てきたがなぜ自覚できないのかについて明確な理由を見いだすことがまだできていない。ぼんやりと感じるのは自分自身の経験による穿った自信かもしれない。パワハラをする人は、「自分もこういう扱いを受けてきた」と弁解することが少なくない。自分も受けてきたのだから第三者にしても許されるだろうという安易な発想かもしれない。本来であれば自分はひどい扱いを受けてきたので自分でとめなければならないと考えるべきであろう。それができない。ある意味では「自分だけ不遇な扱いを受任するのは耐えられない」というきもちからかもしれない。大人としての成熟性の欠如としか言いようがない。

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