
「悩みは、単純な物語にはならない」
弁護士:島田 直行
投稿日:2025.04.02
弁護士として活動する中で、私が大切にしていることの一つに、「悩みや不安に寄り添う姿勢」があります。
人は誰しも、自分の話を聞いてほしいと願っています。ですが、自分の不安や苦しみを表現する場所は、案外少ないものです。そもそも、その話を聞いてくれる人すらいない——そんな現実に直面している方も多くいらっしゃいます。
世の中には、成功者の体験談や逆境を乗り越えたストーリーが数多く紹介されています。苦境を乗り越え、大きな成功に至るというシンプルで力強い物語。それらは記憶に残りやすく、心を揺さぶるものです。
私たちは、そうした話を聞くと「自分も頑張ろう」と奮い立たされます。しかし、だからといって目の前の問題がすぐに解決するわけではありません。
多くの人が抱える不安や悩みは、実際にはとても複雑です。家庭のこと、職場での人間関係、将来への不安……それぞれの背景や事情が絡み合っていて、一言で説明できるようなものではありません。
しかも、その悩みが誰からも注目されないからといって、簡単な問題だということにはなりません。むしろ、誰にも語られず、語ることもできずに抱え続けているからこそ、その苦しみは深いのだと思います。
自分でも、自分の悩みの本質が分からないことはあります。それは、目の前の出来事があまりにも複雑すぎるからです。そうしたとき、人はつい問題を単純化して理解しようとします。そうすれば、ストレスは軽くなるかもしれません。ですが、それは根本的な解決にはならず、問題を先送りしているだけのこともあります。
複雑な問題を解決するためには、「複雑なまま受け止める勇気」が必要です。特に、他人の抱える悩みに向き合うときには、そのままの形で受け取らなければならないことも多いのです。
もちろん、弁護士である私にも、全ての悩みを解決する力があるわけではありません。時には「これ以上できることはない」と伝えなければならない場面もあります。
それでも、誰かが自分の話を真剣に聞いてくれることで、安心できることは少なくありません。とつとつと状況を説明し終えたあと、「ありがとうございました。気持ちの整理がつきました」と言っていただける瞬間は、私にとっても大きな意味を持ちます。
話を聞く力は、弁護士にとって欠かせない力です。複雑な悩みを、単純な物語に押し込めず、そのまま受け取る姿勢を大切にしたいと思います。
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