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クレーマーを訴える:慰謝料をクレーマーに請求できるのか

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2019.11.29

クレーマーから執拗な電話や脅迫めいた発言を受けると誰しも気が滅入るものです。企業としても時間と手間を取られてしまい本来の業務に支障がでてしまうこともあるでしょう。

クレーマーを訴える前に考えるべきこと

経営者からは、「こんなに事業に迷惑を受けた。慰謝料を請求して欲しい」と言われることがあります。クレーマーからやられたから訴訟でやり返したいというのが素朴な感情でしょう。クレーマーへの対応として訴訟をすることもありますが安易に手をだすとかえってトラブルになることもあります。

そもそも誰が原告として訴えるかについて考える必要があります。

例えば慰謝料は個人の精神的苦痛に対応する損害です。そして法人には「精神」というものが想定されません。ですから慰謝料を請求する場合には、基本的にクレーマーに対応した担当者個人が訴えをすることになります。法人が原告として当事者になることはできないというわけです。現実的な問題として個人が原告として積極的に訴訟を展開していくというのはなかなか心理的にもきついものがあるでしょう。まるで自分が矢面に立たされたような気にもなるでしょう。

法人が原告となるとすれば、業務を妨害されたことによる損失を請求することになります。でも実際に損害を立証するのは容易なことではありません。例えばある人員を担当者として割り付けたことによる人件費を損害として請求するとしましょう。この場合にしても「そもそも何時間をクレーマー対応に要したのか」「クレーマー対応に要した時間と顧客対応に要した時間を明確に区別できるのか」といった立証の問題がでてきます。こういった計算や準備をするだけでかなりの労力を要するのが実情です。

仮に労力を費やして裁判をしても想定していた損害が認定されるとは限りません。むしろ経験的には社長が想定しているよりも低額な損害として認定されることが多いような印象を受けます。しかも回収できるとも限りません。

最悪なケースは、訴訟をして証拠不十分として敗訴してしまうことです。これではクレーマーにさらに自信を与えてしまい要求が過激化することも想定されます。「負けない」というのがクレーマー対応において重要になってきます。

クレーマーの不当な要求を封じることが大事

そもそもクレーマーに対してなぜ訴えるのか。その目的を間違うと全体としての解決になりません。クレーマーを訴える目的は、クレーマーからの不当な要求を封じることにあります。クレーマーから金銭を回収することを目的とするべきではありません。

クレーマーの要求を封じるという意味においては、債務不存在確認訴訟を利用することが多いです。これはクレーマーの要求内容に根拠があるのかを裁判所に判断してもらうということです。この場合にはクレーマーにおいて自分の要求に根拠があることを立証していくことになります。ですがもとも不当な要求なので簡単に立証できるものではありません。結果として「クレーマーの要求には根拠がない」ということが司法的に判断されることになります。こういった判断がなされたうえでさらに要求してくれば脅迫などになるでしょう。

実際当事務所でも債務不存在確認訴訟で解決した事例が相当数あります。

「訴える」というとそれだけで勝ったような気になる人がいますが危険です。どうやって訴えるかについて戦略を練らないとかえって自分が追い込まれることになります。

訴訟においても「全体としての解決」という視点を忘れてはいけません。

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