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コールセンターのクレーマー対策:受任限度をあらかじめ設定することで社員の定着率をあげていく

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2019.10.07

ネット通販が広く利用されるようなってコールセンターを設置している企業も増えてきました。いかにネットが発達してもやはり相談やクレームは、生身の人に頼るところが多いです。クレームにしても人と話すことで解決することも多々あります。

ですがコールセンターの担当者の負担は相当なものです。電話をする側からすれば「一度の電話」かもしれないですが受ける側としては朝から晩までずっと電話対応ということも想定されます。しかもクレームの聞き取りと謝罪を長時間にわたり繰り返すというのは容易なことではありません。実際のところ通信販売などを手がける経営者の方々からは、「コールセンターの担当者が退職してしまう。なんとか離職率区を低下させたいので相談にのってくれ」と声をかけられることが少なくありません。ただでさえ人手不足の昨今です。いちど退職されると新たな人員を手配することは容易なことではありません。これではせっかく売り上げを上げていこうとしてもバックヤードの体制が定まらず頭打ちになってしまうことになりかねません。

コールセンターに関してよくある相談は、次のようなものです。

  • 同じ人から繰り返しクレームの電話がかかってくる
  • 何度説明しても理解してもらえない
  • 自分の非を棚に上げて一方的に会社を批判してくる
  • 「直ちに対応しろ」と無理な要求をしてくる
  • いつまでも電話を切らせてくれない
  • せっかく電話を切ったとしても別の担当者が電話をとってしまう

こういった状況に陥ってしまう企業にはひとつの共通点があります。それはクレーマー対応が属人的なものになっていて企業としての統一指針が定まっていないということです。つまるところ誰が担当者であるかによってクレーム対応がうまくいくかどうかが決まってしまうことです。これでは対応が上手な担当者がなにかのきっかけで退職すれば一気に組織力が低下してしまいます。しかも他の社員も自分の負担が急に増えて疲れてしまって退職という連鎖になることもあります。

コールセンターの定着率をあげていくには、①中心となる人を設定すること及び②統一的な対応方法を策定しておくことが効果的です。自分で考えてなにかを実行するのではなく「こういうケースではこういうように対応する」という対応の方針を全員が確定しておくことです。誰しも同じ対応ができるということこそ組織として対応するということです。いくら個別の担当者のスキルを上げたとしても組織全体を意識した方法ではなければ問題の抜本的な解決になりません。

とくにはっきりさせるのは「どこまで耐えるべきか」という受忍限度の範囲です。あるラインを超えたら悪質クレーマーとして対応していく方針を明示しておくことです。そうしないと担当者としていつまでも「お客様だから」という抽象的な理由でずるずる耐え続ける結果になります。

ある会社では事務所のコンサルティングを受けられてマニュアルを策定されました。すると担当者の方から「自信を持って対応できるようになった」という意見がでてきたうえに現場だけで解決できるケースが増えたということでした。ぜひ御社も挑戦してみてください。

 

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