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ハラスメント

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地域でクレーマー案件が増加している現実的な理由

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2019.06.15

「このブログを読んで救われた」などの連絡をいただくことがあります。少なくない人がクレーマー対応に疲弊しているのでしょう。事務所でもクレーマー対応に関する相談がこのところ増えています。いろんな対策がありますが前提としてなぜこれほどいわゆるクレーマーが増えてしまったのでしょう。現実的な理由について考えてみました。

社会があまりにも高度にサービス化してしまった

あたりまえですが人間は誰しもひとりで生きていくことはできません。相互に支援しながらコミュニティのなかで暮らしていくことになります。共同体のメンバーとして存在していくには、他者との良好な関係が必要になってきます。相手との関係が悪化すれば共同体のなかで受け取るべきサービスをえることができなくなります。ですから共同体における自分のポジションを維持するために不当要求などをすることを自ずと控えます。簡単に言えば「浮かないよう」にします。

ですが現代では社会があまりにも高度にサービス化してしまっています。何かを欲しいと思えば自宅にいながら届けてもらえます。行政サービスもあらゆるところに及んでいます。つまり自分から努力して共同体を維持しようとしなくてもなんとなく暮らしていくことができます。ですから共同体のなかで自分がどのように評価されるかといったものへの興味が失われていきます。興味を持つのは「自分の利益はいかほどか」というものに集約されてしまいます。結果として自分の利益を最大化できるような要求に固執するようになります。

ストレスのはけ口としてのクレーマー

クレーマーは、ずっとクレーマーとは限りません。一般の人がちょっとしたことでいきなりクレーマーになることがあります。例えば普段は冷静に仕事をしている人がある案件に関して無茶な要求に固執するようなケースです。周囲から見れば、「あの人が」と驚かれるかもしれません。このところのクレーマーの特徴は、こういった普通の人があることをきっかけに執拗に不当な要求をするようになることです。

かつては明らかに不当な要求をする場合には、周囲の家族が引き留めることも多々ありました。ですが最近では家族が抑制するということは少なくなった印象を受けます。むしろ夫婦が一緒になって「敵は本能寺にあり」ではないですが攻勢をかけてくることもあります。もちろん理由があってクレームを述べるのはあたりまえのことで別段問題があるわけではありません。ここで述べるのは明らかに根拠のない言いがかりや常軌を逸する方法での要求についてです。

こういった人は、日常でなにがしかのストレスを抱えています。仕事場でのストレスのはけ口としてクレーマーになっている印象が受けます。傷つけられた自尊心を別の場所で回復するために誰かにあたっている印象です。

コトナカレ主義による間違った自信

とかくコトナカレ主義になってしまうとおかしな要求についても甘んじて応じてしまうことになってしまいがちです。「これくらいで手が切れるなら」という甘えがクレーマーにとって「自分の意見を声高に述べれば実現する」という自信になります。

誰しも問題に巻き込まれるのはまっぴらごめんでしょう。ですからどうしてもコトナカレ主義になってしまい「他の誰かが調整してくれるだろう」という無責任な対応になってしまうことがあります。こういったコトナカレ主義がクレーマーを跋扈させることになるのかもしれません。

こうなってくると誰かの犠牲のもとに声の大きな人の意見のみが実現していくことになります。しかも犠牲になるのは不満を口にせず朴訥とまじめに暮らしている人です。「正直者が馬鹿をみる」社会は誰も願うものではありません。

だからこそクレーマーに対してしっかり対策をとって行く必要があります。なし崩し的な対応だけでは問題の本質的な解決にならないのみならず社会全体を劣化させていく危険があります。

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