083-250-7881[9:00〜17:30(土日祝日除く)]

tel:083-250-7881[9:00〜17:30(土日祝日除く)]

tel:083-250-7881[9:00〜17:30(土日祝日除く)]

ハラスメント

ハラスメント

弁護士が考える。ハラスメント行為に及んでしまうひとの特徴とは

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2023.10.06

ハラスメント行為については、「それが違法だ」ということは社会の共通認識となっています。それにもかかわらずいまだにハラスメント被害はなくなりません。むしろさまざまなハラスメント行為が顕在化しているのが実情でしょう。こういったハラスメント行為の加害者には、特徴が見いだせます。今回は、パワハラを前提に「こういうひとはハラスメント行為に及びがち」という点をいくつかご紹介します。読んでいただければ自省のみならず部下指導のヒントにもなるはずです。

社内政治に過度の興味を抱く人

事業規模に関係なく企業内の人事関係に過度に興味を抱く人がいるものです。「この人はあの人とつるんでいる」「この人は仲が悪い」など。おそらくみなさんにしてもひとりくらい思い当たる人をイメージできるはずです。こういった方は、周囲の人間関係を読むことで自分のポジションを維持しようと画策しがちです。つまり自分の能力不足を人間観察でカバーしようとするわけです。正確には人間観察というよりかは、腹の読みあいというものでしょうか。

ひとは、周囲の人を評価することが基本的に好きです。しかもマイナスの評価をすることが。だから他人の恥は、噂話としていっきに拡散していくものです。誰かのいい話が自然と広がるようなことはないです。自分で意図的に広げようとしたら「自慢太郎」というレッテルを貼られてしまうのがオチです。僕らは、あまりにもつれない世の中に生きているのでしょうね。

こういった他人を評価するというのは、他人の評価を落とすことで相対的に自分のポジションを高くすることが目的です。努力せずして自分の評価を高くできるのでとても効率がいい方法論です。ですからいちどうまくいくとやめられないし、汗水流すのが馬鹿らしくもなってきます。より高いところに至るためには、より多くの他人の弱みが必要になります。そのため際限なく他人のことを調べようとしてしまいます。 簡単に自分のポジションを確保できるとなれば、それは次第に全能感に至ります。「この会社のひとは自分がコントロールできる」という感覚です。これがときにパワハラにいたります。自分の意見や価値観にあわないひとをハラスメント行為で攻撃して優越感を味わうというものです。とくに部下から「それはおかしい」と自分を否定されるような意見がでると強烈なハラスメント行為に及びます。これは自分の立場を崩しかねないひとを排斥するためです。本人にとっては「自分の身を守るための当然のこと」であり罪悪感も生じません。

自分に強烈な成功体験をもっている人

ひとは、「成功」という言葉が大好きです。誰しも成功したいという願望をどこかで有しているものです。ときに厭世的に「自分は成功に興味はない」と口にされる方がいるかもしれません。たいてい表面的で現実には同じ穴のムジナというものです。そもそも成功を目指すということを否定するべきではないでしょう。それがモチベーションとして機能するのであれば、積極的に否定するのもおかしな話です。とくに事業においては、然りです。

問題は、その「程度」です。ときに短期的に結果をだして強烈な成功体験を有している方がいます。周囲から賞賛されれば、誰しも悦にひたるものです。それはいい。でもこういった成功体験は、ときに周囲に対する圧力として機能することがあります。

いちど成功体験に酔ったひとは、より強烈な体験を求めて邁進します。それが自己完結すればいいのですが、個人の努力で対応できるプロジェクトにはおのずと限界があります。より大きなプロジェクトに挑戦しようとするほどに他のメンバーの能力を必要とします。本人としては、自分の描くとおりに動いて欲しいわけです。「自分の言うとおりに動けばうまくいく」という自負があるからこそあれこれ細かい指示をだします。これに対して部下から「その日は休みです」と言われるとまったく理解できずに感情的になります。「なぜ自分の指示よりも大事なものがあるのか。結果をだせない者が何を言っている」と感じてしまいます。そのとき相手は、自分の成功に至る道を阻害する敵のように映ってしまいハラスメント行為に及んでしまいます。成功に対する渇望が強いほどに周囲が自分の成功を阻害していると錯覚するようになります。

他人の価値観を共有できない人

誰しも自分の価値観というものをもっています。「これは、こうあるべき」という発想です。こういった価値観は、生活環境などによって時間とともに構築されていきます。ですからひとによって全く異なったものとなります。

私たちは、自分と他人の価値観が異なるということを前提にして共同体を構成しています。違いがあることを理解しつつ協力して生活を維持していくということです。そのためには他人の価値観への共感を要します。ときには相手の顔を立てるために自分が一歩引くという行動もあります。これはある意味ではあたりまえのことです。各自が自分の価値観だけで生きていたら万人の万人による闘争となってしまうでしょう。

でもなかには自分の価値観がすべてであり他人の価値観に対してまったく共感しない人もいます。その理由はわかりません。でも現実にいるわけです。こういったひとは、「自分は自分。他人は他人」ということで自分の価値観への固執を正当化する傾向があります。これは一見して論理的であって、まったく論理的ではありません。人は、常に他人と双方向でつながっているからです。「自分は自分」と言い切ることは、自分から他者に向けられたベクトルを遮断するだけです。他人から自分に向けられたサポートだけ受けるといういびつな関係になります。いわば他人からの恩恵だけを受ける都合のいい状態というわけです。 こういった状態を「よし」とするひとは、他人に対して厳しく強い言動にでてしまいがちです。自分だけの価値観で周囲を作りあげようとするからです。周囲の人も強い発言などに引っ張られてしまってついつい要求を受け入れてしまいます。誰しも周囲の人とトラブルになりたくないために「自分が我慢さえすれば」という発想に至るからです。こういった周囲の優しさがさらに「自分の価値観への執着」を強めることになります。

今回はハラスメント行為に及ぶ人の特徴を挙げてみました。何事も対策をとるうえで大事なことは、事実を冷静に見極めることからはじめることです。「なぜハラスメント行為にでてしまうのか」について考えることで対処法も検討しやすくなります。本質的な解決のためにも参考になさってください。

BLOG一覧へ戻る

CONTACT

お困りごとは、島田法律事務所で
解決しませんか?

お急ぎの方はお電話でお問い合わせください。
オンライン相談をZoomでも対応しています。

083-250-7881
[9:00〜17:30(土日祝日除く)]