083-250-7881[9:00〜17:30(土日祝日除く)]

tel:083-250-7881[9:00〜17:30(土日祝日除く)]

tel:083-250-7881[9:00〜17:30(土日祝日除く)]

後継者・幹部育成

後継者・幹部育成

後継者育成には失敗も含めた様々な経験を

松﨑 舞子 弁護士:松﨑 舞子 投稿日:2023.09.15

後継者が決まると、社長就任までにどのように育成を行うか、模索されている経営者の方も多いでしょう。代替わりによって社内や取引先に生じる不安を減らしたい、「社長の子」ではなく「次代の経営者」として受け入れられるにはどうしたらよいか、といった悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本ブログでは、業種を問わず後継者育成に共通する方針について、後継者に必要な能力の視点からお伝えしていきます。

後継者が経験を重ねる姿を見せることで見方が変わる

後継者を育成する上での方針で要となるのは、後継者自身が失敗も含めて経営の経験を積んでいくことにあります。

後継者の立場は、社長の子、自社の幹部、外部からの抜擢等あります。いずれの場合でも、従業員や取引先は、「後継者に代替わりしても会社はうまくいくのか」「経営方針が大幅に変わって不安定にならないか」といった思いで会社を見ています。特に社長の子が後継者となった場合には、先代社長との比較をされがちです。

後継者自身が実際に経営に携わることで、従業員や取引先は、後継者が社長になった状況をイメージすることができます。ときには、采配がうまくいかず試行錯誤することもあるでしょう。それでも、後継者が失敗もしつつも努力する姿を従業員や取引先が目の当たりにすることで、後継者が内外の信頼を徐々に構築していく効果が期待できます。

後継者に必要な力の社内での育成

後継者に必要な能力についての見解は様々あるところです。本ブログでは、どの会社の後継者でも共通すると考えられる、決定力、コミュニケーション力、財務に関する力の観点から育成内容を考えていきます。

経営に関する決定をする場合には、社内全体の分野について、総合的に判断して決定する力が必要になります。例えば、取引先との契約でトラブルが発生して金銭的な請求がなされた場合、問題となっている請求を少なくすることに力点を置きたくなります。この場合の総合的な判断としては、自社の主張を通すことで訴訟に発展した場合、弁護士費用等のさらなるコストや時間がかかること、今後その取引先との係争を長期化させることが今後の経営に悪影響を与えないか、といった点を考慮して、着地点をどこにもっていくかを判断するということです。

経営者として最終的な判断をする際には、経営判断が自社のどこにどのような影響を与えるかを理解していると、地に足のついた判断が可能になります。後継者が社内のすべての部署を経験するという育成方法をとることで、後継者自身の理解の促進につながります。

また、後継者が各部署を経験することで、現場の状況、従業員の声に直に触れることができます。この点で、従業員のコミュニケーション力向上にもプラスになります。なお、経営者と従業員のコミュニケーションについては、2023年4月21日掲載のブログでもご紹介しています。

社内での育成で先代の立場から行っていただく分野は、経営のノウハウとしての財務に関する力の承継です。貸借対照表や損益計算書といった決算書類をベースに、先代が培った資産の形成、管理等の視点を共有していきます。後継者が自社の財務の体制を理解することは、今後の自社の発展にも有益となるはずです。

自社外部での育成

決定力の基礎を固めるには、自社以外の経営を学ぶことも有益です。そのために、他社への出向を経験させるという育成方法が考えられます。

後継者が自社や他社である程度経験を積んできたら、関連会社、子会社がある場合には、後継者に経営を任せてみる方もいらっしゃいます。ときには、あえて厳しい状況にある会社で経験を積ませることもあるでしょう。厳しい状況でも一から結果を出すことができれば、後継者の自信にもつながりますし、従業員や取引先の見る目も変わってきます。

社外での育成に関しては、後継者と同じ立場にある人との交流の場でつながりを持つことも組み入れてみましょう。

経営者は、会社や従業員の生活を背負い、相談の相手も限られることがあったりと孤独な立場にもなります。特に、若手の後継者や女性の後継者については、社内外からのプレッシャーが強い、ロールモデルが周りにないため相談相手がいないという問題が生じえます。

同じ立場にある人と悩みや考えを共有できると、後継者のマインドの安定につながります。後継者のうちから若手経営者や女性経営者の集まりに顔を出すなどして、交流を広げていくのも一手です。

後継者を支える幹部の選定

後継者の育成とともに進めておくとより有益な方策として、後継者の右腕あるいは番頭となる幹部の選定、育成があります。

後継者を支える幹部には、後継者を守る役割、後継者の行き過ぎを防止する役割があります。

経営者を守る役割としては、経験の浅い部分を補う、あるいは代替わりによる従業員からの不満の受け止め役になるといったことが考えられます。

経営者の行き過ぎを防止する役割としては、後継者が経営方針や社内の改革を急激に押し進めようとする場合にブレーキをかけるといったものです。

後継者を支える幹部には、先代の経営理念を理解しつつ、後継者と従業員との間を取り持つ力が求められます。幹部の選定や育成自体が難しいこともありますが、このような幹部の支えがあることで、後継者による経営の安定性がより高まることでしょう。

士業との連携

後継者の決定力、財務に関する力を育成する観点からは、専門家である士業との連携も有用です。

まず、弁護士については、トラブルが発生してから相談するというイメージが強いのではないでしょうか。弁護士が会社と関わるタイミングとしては、トラブルの発生前に予防法務として携わる場面もあります。例えば、新規事業を行うにあたり法的な部分も含め問題点がないか確認する、新規の取引先との契約について紛争を未然に防ぐ内容を検討するといった場面です。

トラブルを未然に防ぐという観点で弁護士と連携することで、経営に関する考え方の広がりが期待できます。

後継者の財務に関する力の育成という観点からは、税理士との連携を密にすることが考えられます。毎月、毎年の財務状況だけでなく、将来の経営に関しても話のできる税理士と連携すれば、後継者は先代から学んだ財務に関する力を活かす機会にもなります。

社内の体制や、従業員に関する決定の際に連携が必要となるのは社会保険労務士です。特に、人事評価や給与について、後継者が改革を検討している場合には、先代の頃からの状況を知る社会保険労務士からのアドバイスを受けることで行き過ぎの歯止めになりえます。

いずれの士業も、会社から離れた中立的な立場で連携をしていくものです。中には、先程の後継者を支える幹部のように、先代の頃の状況を理解し、後継者の行き過ぎを防止する役割を士業が担う場合もあります。

連携する士業については、経営者との相性もありますので、後継者が自分と相性の良い士業への変更を希望する場合もあるかもしれません。

ただ、後継者への世代交代に伴い、連携士業を一気に変更してしまうと、歯止めが利かなくなったり、周囲が不安になるリスクがあります。

後継者には、まず先代社長がどのようなスタンスで士業と連携をしてきたかを理解してもらい、後継者の方針に合わせて連携方法を模索していくことになります。

後継者が社内、社外から受け入れられるためには、後継者自身の手で周囲からの信頼を獲得していく必要があります。後継者の育成プロセスにおいて、失敗も含めて幅広く経営に関する経験を積むことで、信頼関係の基礎が築かれるという視点も参考にされてみてください。

BLOG一覧へ戻る

CONTACT

お困りごとは、島田法律事務所で
解決しませんか?

お急ぎの方はお電話でお問い合わせください。
オンライン相談をZoomでも対応しています。

083-250-7881
[9:00〜17:30(土日祝日除く)]