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誰かと仕事をするときに外してはいけない3つのルール

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2020.01.11

誰かと仕事をするということは刺激的なことです。企業関係の仕事を扱う僕もたいはんの事案で他士業の方とチームを組んで扱っています。「こういうやり方もあるのか」と学ぶことがたくさんあります。

ただ同時にチームを組んでうまくいかないときには、ストレスフルです。「これならひとりでやってしまったほうがよかった」と後悔することもありました。

チームとしての意思疎通がうまく機能しないことは珍しくありません。士業であれば共同事務所が方針の相違によって解体ということもあります。こういったリスクを回避するためには、3つのルールを押さえておくといいです。

決定プロセスをあらかじめ確定する

チームが崩壊する大きな理由は、価値観の相違です。最初は同じ方向を見ていたのがしだいに別の方向を見るようになってしまったということは誰しも経験することでしょう。

こういった価値観というのは、個人の主観なので事前に確定させておくことは簡単ではありません。しだいに売上が上がってくると価値観が変わってくる人もでてきます。それはある意味で仕方のないことであって「価値観をそろえよう」と声をだすほどに空虚な叫び声になってしまいます。

むしろ最初に確定させるべきところは、ある検討事項についての決定プロセスを確定させておくということです。例えば複数の士業が同じ問題を扱うときには、士業によって考え方が微妙に違ってきます。それぞれが「自分がベスト」と考える提案をしてきます。そのさい最終的な方向性をどうやって決めるかが曖昧だとなんとなく会合だけを重ねて何も決まらないことになります。これだと会議は踊るされど決まらずということになります。

ですから「問題があったときには○○が決める」と最初から決め打ちしておけばむだな会合を重ねる必要がないです。僕がチームを構成する場合には、「意見が分かれた場合には僕が決めます」と最初に伝えています。結果として責任にしても一人で背負います。

みんなで仲良く議論をすることはいいことです。いいことですがビジネスのスピード感についていけるかといえば疑問があります。みんなが自分の能力をアピールしつつ責任だけは回避するようになるとなんのためのチームなのかわからなくなります。たんに誰かをジャンプ台にして自分だけ浮き上がろうとする輩もでてきます。「こうやって決めるから」とバシッと言い切るのが大事です。

なにをいくらでを明確にする

士業など顕著ですがカタチなきものを売り物にする場合には、どうしても「これくらい無償でやってくれるよね」という甘えがでてしまいます。いまだにサービス=無料と誤解している人に出会うことがあって驚きます。本人としては、「このくらい無償でいいだろう」という軽い気持ちなんでしょうが困ったものです。こういう人に限って自分の提供するサービスにはクリアーに請求してくるから苦笑いしかないです。

基本的に無償のサービスで事業を維持していくことはできません。イントロは無償かもしれませんがどこかで帳尻合わせるために費用を請求することになります。そうしなければビジネスとして存続できません。あたりまえですね。

とかく知り合いであるほどに「これくらい無償で」ということになりかねません。これを義理人情というのは間違っています。たんに知りあいであることを体よく利用しているだけです。人間関係を「利用するだけ」の人は、信頼を失っていきます。これからの時代には、AIなどが発展し今までよりもさらに個人の信頼といった金銭的に評価できないものが価値になってきます。他人の良心にフリーライドをする人はしだいに暮らしにくくなるでしょう。

僕は、知り合いに頼むときにもきちんとなにをいくらでやってもらうかを事前にはっきりさせるようにします。どんなに仲が良くてもきちんとお金の話を整理しておくことがトラブル防止の上で必要です。僕の場合には、折り合いがつかずに依頼にならないということもあります。僕は、それでいいと思っています。一見すればドライかもしれませんが本来のプロの仕事ってこうあるべきです。こういった厳しさがあるからこそサービスの品質などについても遠慮なく指摘することができます。無償の場合には、サービスの問題があってもなかなかいえません。ですがきちんと費用を支払うからこそサービスに問題があれば指摘できます。それが費用をもらうことの責任でしょう。

あえて解散する時点を共有する

僕は、前にもブログに書きましたがチームを作るにしても事案に応じて人選をしています。特定のメンバーだけで問題を解決していくということはありません。

事件の内容によって得手不得手という人がいるのは仕方ありません。僕の役割のひとつには、そういった事案にそったベストな人選をしていくことです。たんに知り合いだからやっていきましょうということはないです。

ずっと同じメンバーだと気心もしれているしやりやすいでしょう。ですが事件に対する緊張感というものがしだいに薄れていくのも否定できません。「これくらいでいいだろう」という気持ちがどこかにでてきます。自分に対する戒めにするためにも緊張感を持つためにあえて人選を変えていきます。

ですからあるメンバーを集めたときにも何をゴールにしていつ解散するかをはっきりさせています。「このチームには終わりがある」と自覚するからこそみんな緊張感をもって事案に臨んでもらえます。ときには「失敗したら二度とこえかからないかも」という緊張感にもなるようです。こういった緊張感は、士業としてのレベルを上げていくものと考えています。

スタッフにはいつも伝えているのですが同じことを漫然と繰り返してもスキルの上達にはなりません。ちょっと背伸びをして結果をだしていくからこそスキルが高くなっていきます。そして背伸びには、ほどよい緊張感も必要でしょう。

「終わりを決める」というのは良好な人間関係を維持するうえでも必要です。

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