
技術の波と僕ら
弁護士:島田 直行
投稿日:2025.02.22
最近読んだ本の中で、とても印象的だった一冊をご紹介します。本書では、新しい技術の波について語られています。その代表としてAIが挙げられています。
THE COMING WAVE AIを封じ込めよ DeepMind創業者の警告
AIという技術は、この数年で急速に社会に浸透し、私たちの生活のさまざまな場面で活用されるようになりました。それに伴い、私たちはAIとどのように付き合っていくべきなのかを真剣に考える時代に突入したと言えるでしょう。本書では、AIの有効性だけでなく、その危険性についても触れられています。
これまで、私たちは技術をある程度コントロールできるものとして受け入れてきました。しかし、AIは従来の技術とは異なり、人間の予測や制御が難しい側面を持っています。この点こそが本書の主要なテーマであり、私自身も多くの本を読む中で、AIの持つこの特異性を強く感じています。
本書は、技術と人間の関わりを歴史的な視点から考察しています。特に、産業革命期のイギリスで起こったラッダイト運動が取り上げられています。これは、機械の導入に反発した市民たちの動きでした。しかし、技術というものは、その有用性が高いほど、社会全体に広がっていくものです。本書でも述べられているように、技術の進化はまるで押し寄せる波のようなもの。私たちは、その波に抗うのではなく、どのように向き合うかを考えるべきなのです。
AIについても同じことが言えます。「わからないから怖い」と距離を置くのではなく、どう活用していくかを模索する姿勢が重要です。技術の進歩は常に法律や規制よりも先行してしまうため、完全にコントロールすることは難しいでしょう。実際、AIのすべてを理解することは不可能に近い。しかし、だからこそ、そのリスクを正しく認識し、どのように対応すべきかを考え続ける必要があるのです。
本書の中で特に印象的だったのは、AIの「増幅機能」についての考察です。AIは人間の考えや行動を増幅させる特性を持っています。それはポジティブな面だけでなく、ネガティブな面も含まれます。このような側面は、AIに限らず、あらゆる技術に共通するものです。重要なのは、そのバランスをいかに取るかという点でしょう。技術の恩恵を受ける一方で、バランスを崩したときに生じる危険についても十分に考慮しなければなりません。
本書の結論として、AIを「封じ込める」方法について著者の考えがまとめられています。私たちは、AIの利便性や優位性に期待する一方で、そのリスクや危険性にも目を向けるべきです。それを技術者任せにするのではなく、一般市民である私たち一人ひとりが理解を深め、考えていくことが求められています。
「わからないから考えない」のではなく、「わからないからこそ学ぶ」。この姿勢こそが、これからの社会で生きていくうえで大切になるのではないでしょうか。私自身も、新しい技術に対して模索を続けながら、どのように付き合っていくべきかを考えていきたいと思っています。
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