育成の方針

人材育成の基本的なスタンス

 このページでは,事務所における人材育成の基本的なスタンスをお伝えします。私たちは,人材教育を通じたレベルアップこそ求められる事務所になるために必要と考えています。「育てる」というプロセスを大事にすることで働く人がいつまでも勤務し続けることができる職場づくりを意識しています。

教えることは学ぶことと同じです

 人材育成の中核となる発想は,「教えることを大切にする」ということです。

 私たちの事務所では,弁護士でも事務スタッフでも未経験者でまったく問題ありません。どのようなレベルの人であってもゼロベースから事務所の仕事の仕方をスタッフ同士が教えていきます。

 はっきり言って「法律事務所で勤務する」というのはなかなかイメージしにくいところがあるでしょう。「自分でもやっていけるのだろうか」「法律なんてまったくわからないし」というのもある意味では当然の不安かもしれません。こういう不安があることを知っているからこそ「教える」ということにこだわっています。

 「先輩のやり方を見て覚えて」と言われることがあります。ですが「なにをどのように見ればいいのか」わからなければなかなかコツを詰めることができません。教え方にも方法というものがあります。まずはざっくりしたイメージを持ってもらってから細かい作業に取り組んでもらうことが効果的と考えています。事務所では,このように「教え方」にこだわりをもっています。

 教えるというのは,たんに教わる側のレベルをあげるだけではありません。教えることによって教える側のレベルもぐんぐんあがっていきます。「なぜここでつまづいたのか」と考えるきっかけになるからです。誰かに何かを伝えて自分も相手も成長する。そういう組織ってなんだか素敵ではないでしょうか。逆を言えば,「教えるなんてまっぴら。自分のスキルだけ高めればいい」という方は応募されないほうが双方のためです。

 事務所では,「いつでも,誰でも相談できる」という雰囲気づくりに取り組んでいます。他にも弁護士を交えた定期的なスタッフの勉強会なども開催しています。「わからないことは自分から聞いてみる」ことこそスキルを伸ばし周囲とのコミュニケーションの充実になります。

バランス感覚を大事にしています

 生きるということは,バランスをとることの繰り返しです。すべてのことがAかBか決めるられるほど人生は単純なものでありません。これは仕事とプライベートの関係でも同じです。

 事務所では,スタッフのプライベートの時間も大事にしています。家族と過ごす時間や自分の趣味やキャリアアップの時間が人生においては必要です。短期的な利益をあげるために朝から深夜まで仕事漬けというのは事務所のスタイルにあっていません。無理をするような暮らしは,長続きをするわけがありません。人生は短距離走ではなくマラソンのようなものです。長距離をペースを保って走り続けるためには,ペース配分が必要となってきます。

 また事務所では,仕事以外の分野に触れることが仕事のクオリティ向上にもつながると考えています。事務所では,世界的なアーティストの観劇などに行くこともあります。クラシックを聴いたり歌舞伎を観劇したからといって明日から仕事のクオリティが格段にあがることはありません。ですがいろんな芸術を実際に体験することで物事の見方がゆっくり確実に変化していきます。このようなわずかな変化の集積が感性の向上につながるものと考えています。

 バランスをとるというのは,口で言うほど簡単なことではありません。最初から玉乗りできる人がいないのと同じです。いろんな失敗をしながらはじめてあるべきバランスを見いだすことができます。事務所では,スタッフがバランスをとれた暮らしができるようにサポートしています。

チームとしての生産性を求めています

 私たちの事務所は,チームでひとつの絵を描くようなスピリットで仕事に取り組んでいます。いかに能力が高い人がひとりいたとしても,ひとりで処理できる範囲には限界があります。チームで取り組むからこそ大きな仕事でも処理することができます。その意味では事務所ではヒーローを求めていません。むしろ他のスタッフとチームとして活動できるかがポイントになってきます。

 チームとして仕事をするためには,相互に支援する姿勢が必要です。例えば子どものイベントなどで急に休むことになったときに他のスタッフが事情を汲んで仕事をサポートできるかなどです。「これは自分の仕事。それはあなたの仕事だから関係ありません」というスタンスではチームとしての仕事にはなりません。
 仕事をしていれば,誰だって突発的なできごとに頭抱えることもあります。そういうときにみんなで解決するための方法を考えてサポートしていくのが事務所の考えるチームワークです。

 事務所ではチームワークを高めるために雑談を大事にしています。働きやすい職場って半径5メートルの人間関係が安定している職場です。隣の人の顔色をうかがいながら仕事をするなんて不幸なことです。身近な人との良好な関係を持つには,なにより相手に興味を抱いて知ることから始まります。そのために業務に支障のない雑談は大いに推奨しています。静かで元気のない職場よりもスタッフが「ああでもない。こうでもない」と雑談して活気のある事務所の方が誰にとっても幸せなことです。

 ですから人材教育としても「他の人といかにコミュニケーションをとるか」についてもフォローしています。ときには心理学などの講師をお呼びして意見を伺うこともあります。

事務所の一日の動き